記事概要
- 夏目漱石の作品にチャレンジしてみたい方
- 夏目漱石「前期三部作」への興味が湧き、手に取る1冊が決まる

いちごバター
読書歴5年、2人で500冊以上読んできた本好き夫婦が、夏目漱石への愛を込めて、前期三部作の面白さをご紹介します!
前期三部作の特徴・おすすめしたい人
近代化の時代に、若者が社会の中でもがく様子をありありと描く

▶ 社会の慣習に違和感を覚えている方
前期三部作では、百年前の近代日本における社会の慣習(結婚・職業・家柄など)に対し、どこか反抗心や違和感を抱く主人公の内面が、克明に描かれています。
現代においても、社会の「当たり前」に息苦しさを感じている方には、強く共鳴する部分があるはずです。
▶ 恋の苦悩に深く没入したい方
三部作の主人公たちを大きく揺さぶるのは、「恋」という感情です。
夏目漱石はその繊細な心の揺れや葛藤を描くことに長けており、読者はいつの間にか物語に引き込まれ、強く感情移入してしまいます。
恋に翻弄される人間の姿を、じっくり味わいたい方におすすめです。
▶ 読みやすい文豪作品を楽しみたい方
夏目漱石の文章は、日本の文豪の中でも比較的平易で、現代の読者にもなじみやすいのが特徴です。
前期三部作はいずれも文庫で300ページ前後と、長編ながら手に取りやすい分量で、文豪作品の入門としても適しています。
- 読む順番は??
それぞれ独立しているのでどの順番でもOK!
- 一番読みやすい作品は?
個人的に読みやすかったのは、『門』でした!
作品紹介

三四郎
田舎者の青さで、学問と友情と恋にぶつかっていく青春の物語
【出版年 / 形式 / 分量】
1908年 / 長編 / 284ページ
【面白ポイント】

田舎者の青さで、学問と友情と恋にぶつかっていく青春の物語です。
上京したばかりの三四郎が、汽車の女との最初の場面からすでにうぶさ全開で、東京という場所にのみ込まれていく雰囲気が漂っています。
与次郎との友情の中では、感心するようなまっすぐさと、鼻につく傲慢さが同居していて、友人関係の表も裏も描かれています。
そして、美禰子への恋は、美禰子が野々宮をどう思っているのか、三四郎への態度に意味はあるのかと考え続けてしまう切実さがあり、身に染みてきます。
漱石作品の中では比較的明るく楽しめる作品でありながら、最後は「ストレイシープ」の言葉とともに失恋の痛みが残り、青春のほろ苦さまで味わえる一冊です。
それから
恋心のために、社会の慣習と戦おうとする男の物語
【出版年 / 形式 / 分量】
1909年 / 長編 / 文庫300ページ
【面白ポイント】

恋心のために、社会の慣習と戦おうとする男の物語です。
代助は、親が縁談を取り決め、働いて身を立てることを当然とする社会の中で、それでも自然に湧き上がる愛の方に真実を見ようとします。
しかもその相手が友人・平岡の妻である三千代だからこそ、彼の葛藤、不安、そして決意はいっそう鋭く胸に迫ります。
父や兄の実業的な価値観、平岡の現実との対比によって、代助の反抗は、生き方そのものを懸けたものへと転じていきます。
恋と思想が深まるほど、引き返せない状況へと追い込まれていき、痛烈な結末に至るまで目が離せない一冊です。
門
罪を背負った夫婦の隠遁な生活に、愛が滲んで見えてくる物語
【出版年 / 形式 / 分量】
1910年 / 長編 / 293ページ
【面白ポイント】

罪を背負った夫婦の隠遁な生活に、愛が滲んで見えてくる物語です。
宗助と御米は、安井を裏切った過去のために、隠れるように暮らしていますが、その一方で互いを深く思い合っています。
とくに御米の病気に取り乱す宗助の姿には強く胸を打たれます。
さらに、貧しさのために小六の学費すら思うように工面できない現実が、罪の意識だけではない生の苦しさとして迫ってきます。
禅寺の門をくぐってもなお心が救われないまま、それでも春の気配をにじませて終わる結末があまりにも美しく、読後もしばらく心に残る一冊です。
