記事概要
- 夏目漱石の作品にチャレンジしてみたい方
- 夏目漱石「後期三部作」への興味が湧き、手に取る1冊が決まる

いちごバター
読書歴5年、2人で500冊以上読んできた本好き夫婦が、夏目漱石への愛を込めてご紹介します!
後期三部作の特徴・おすすめしたい人
人間の神経質な苦悩を深く深く描く

▶読書に「共感」を求める人
後期三部作では、普遍的な人の悩み(恋愛、結婚、死など)について深く深く感情を描いているため、胸が苦しくなるほど共感できる部分があります。
▶「考えすぎ」と言われることが多い人
後期三部作は、考えすぎてしまう人の思考や苦悩を丁寧に掘り下げています。
「考えすぎて苦しむ人」がどのように悩みに向き合うのか、その過程にヒントを見つけられるかもしれません。
▶日本の文豪作品で読みやすい作品を求めている方
夏目漱石の作品は、日本の文豪の中でも比較的読みやすい文章です。
後期三部作は連作短編形式なので、区切りよく読み進められるのも魅力です。
- 読む順番は??
それぞれ独立しているのでどの順番でもOK!
- 一番読みやすい作品は?
分量や内容から私たちは『こころ』が一番読みやすかったです!
作品紹介
彼岸過迄
嫉妬と卑怯さを浮き彫りにする、屈折した心を描く物語
【出版年 / 形式 / 分量】
1912年(朝日新聞連載→単行本) / 連作短編 / 文庫356ページ
【面白ポイント】

嫉妬と卑怯さを浮き彫りにする、屈折した心を描く物語です。
職無しで刺激を求める敬太郎を軸に、須永を取り巻く家族の関係が連作短編の形で描かれていきます。
従妹の千代子とは結婚できないと思っている須永ですが、縁談の噂が立つ高木に対して複雑な嫉妬を抱いてしまいます。
そこには、恋愛の競争心というより、人の内面に潜む後ろ暗さや矛盾が浮かび上がっています。
人の複雑な心の動きと人間関係を、静かに、鮮やかに描いた作品です。
行人
神経質な男の心と、それが周囲に及ぼす影響をまざまざと描く物語
【出版年 / 形式 / 分量】
1912〜1913年(朝日新聞連載) / 長編 / 文庫402ページ
【面白ポイント】

神経質な男の心と、それが周囲に及ぼす影響をまざまざと描く物語です。
一郎という一人の男の神経質さが、妻のお直や家族との関係の中で次第に深まっていく過程を、容赦なく描いています。
お直の胸の内が見えないことが一郎をさらに追い込み、妻の貞操を試すために弟の二郎へお直と二人で泊まってくれと頼むなど、人の心を学者らしい理屈で確かめようとする姿も描かれます。
一方で一郎は、何を考えているか表に出さない「虚の多い人間」よりも、Hやお貞のように素直な心を持つ人間こそ高尚だと語ります。
神経質な男の心をここまで精緻に描いた作品は珍しく、人の内面の厄介さと、それが周囲に及ぼす影響に翻弄されたい方におすすめです。
こころ
罪の意識を持つ人間の苦悩の心に共感してしまう物語
【出版年 / 形式 / 分量】
1914年 / 長編 / 文庫327ページ
【面白ポイント】

罪の意識を持つ人間の苦悩の心に共感してしまう物語です。
憧れの存在である先生が抱える厭世観の正体が、衝撃的な過去の告白によって少しずつ明らかになっていきます。
先生、K、奥さんの三角関係の中で生まれる恋や嫉妬、友情の崩壊はあまりにも人間臭く、読んでいて胸が締め付けられます。
自分の過ちを一生許せないほどの真面目さが生む罪の意識には、共感してしまうからこそ心を強く打たれます。
人間の弱さとエゴを真正面から描いた、読後に深い余韻が残る一冊です。
