記事概要

対象者
  • 逢坂冬馬さんの長編作品を読んでみたい方
  • 重厚な大衆(エンタメ)文学を楽しみたい方
目的
  • 手に取りたい逢坂冬馬さんの作品が見つかる

いちごバター

読書歴5年、2人で500冊以上読んできた本好き夫婦が、逢坂冬馬さんの長編作品の面白さをご紹介します!

逢坂冬馬さん作品の特徴

特徴

時代と社会の歪みを、人間の感情で照らし出す重厚文学

おすすめしたい人

社会の理不尽に、モヤモヤを感じている方

戦時下の国家支配、現代の投資詐欺、時代や国は違えど、必ず「社会の歪み」が描かれます。

それは過去の話や他人事ではなく、今の社会へとつながる問いとして突きつけられるため、読後に「自分たちの社会」について、深く考えさせられます。

登場人物の感情に、深くのめり込みたい方

憎しみ、絆、反抗心、絶望、愛。

逢坂冬馬さんが描き出す人物は、極限の状況の中で人間らしい感情を抱えています。

その感情に触れることで、人間そのものと向き合っているような読書体験が得られます。

読み応えのある大作を楽しみたい方

3作品いずれも分量の多い長編作品です。

世界観・人物・テーマのすべてが丁寧に作り込まれているため、読み終えたときに「読んだ」というより「体験した」と感じられるはずです。

作品紹介

同志少女よ、敵を撃て

復讐心を糧に戦い、失い、学び、悟る、ソ連女性狙撃手の魂の軌跡を描く物語

【出版年 / 分量 / 受賞歴】

2021年 / 単行本479ページ / 2022年本屋大賞、第11回アガサ・クリスティー賞

【面白ポイント】

復讐心を糧に戦い、失い、学び、悟る、ソ連女性狙撃手の魂の軌跡を描く物語です。

舞台は第二次世界大戦下、ヒトラー率いるナチスドイツと戦争をしているソ連です。

故郷と母を奪った敵への憎しみと、憎い師との間に芽生える絆という相反する感情を抱えながら、セラフィマは戦時下を渡り歩いていきます。

仲間を失いながら引き金を引き続けた先には、「復讐を果たした兵士は戦後どう生きるのか」という問いまで浮かび上がってきます。

女性だけの狙撃小隊という視点だからこそ描ける、戦時下の陵辱や理不尽な暴力に関するテーマが、物語にもう一層の深みを加えています。

戦争のリアルな迫力と兵士たちのリアルな感情、その両方を味わいたい方におすすめしたい、重厚な一冊です。

歌われなかった海賊へ

戦時下ドイツで、社会の規定に抗おうとする若者たちを描いた物語

【出版年 / 分量 / 受賞歴】

2023年 / 単行本376ページ / 第15回山田風太郎賞候補作

【面白ポイント】

戦時下ドイツで、社会の規定に抗おうとする若者たちを描いた物語です。

当時のドイツでは、生まれや性別、思想、さらには存在価値までも国家によって規定されており、その息苦しさが生々しく描かれます。

そんな社会の中で、エーデルヴァイス海賊団の若者たちが体制に抗おうとする姿は、形こそ違えど現代で変革を起こそうとする者の姿に重なります。

また、アマーリエという存在を通して当時の一般大衆の迎合主義が炙り出される一方で、フランツという存在を通して、社会に疎まれた人々の本質が浮かび上がってきます。

重厚な歴史ドラマとしてだけでなく、時代が変わっても残り続ける「規定」への問いを投げかける作品であり、読後に深く考えさせられる一冊です。

ブレイクショットの軌跡

ブレイクショットという車の軌跡が、幾多の人生を巻き込みながら一本の線として繋がる物語

【出版年 / 分量 / 受賞歴】

2025年 / 単行本584ページ / 第173回直木賞候補

【面白ポイント】

ブレイクショットという車の軌跡が、幾多の人生を巻き込みながら一本の線として繋がる物語です。

愛はあれど貧しい後藤家と、富はあれど愛に乏しい霧山家、対照的な二つの家族の間で、晴斗は修悟の夢を支え続けます。

しかし晴斗の父・友彦がブレイクショットの事故で脳に障害を負い、晴斗は絶望の中で「1億経済塾」の志木と出会い雇われます。

志木がもたらす闇を発端として、投資詐欺・学歴至上主義・LGBTQ・障害・SNSの混乱など現代日本を取り巻く問題が次々と浮かび上がります。

舞台はやがて国境を越え、NFLの選手から中央アフリカの紛争地域にまで広がっていきます。

バラバラだったピースが一枚の絵として完成する瞬間に感じる圧倒的な達成感をぜひ体感してほしい一冊です。

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