- アメリカ文学の有名作家・有名作品を知りたい方
- アメリカ文学の有名作品の中から次に読みたい一冊が見つかる

いちごバター
読書歴5年、2人で600冊以上読んできた本好き夫婦が、アメリカ文学の有名作家をリスト化し、その有名作品の面白さを相関図を交えて紹介します!
※作家は生年順
※メルヴィル / フォークナー / ジョン・アーヴィング / スティーブン・キング 準備中
レイモンド・チャンドラー

ロング・グッドバイ
迫る脅威に屈せず友人の死の真相を追う、ハードボイルドな探偵の物語
【刊行年 / 分量】
1953年 / 文庫656ページ(村上春樹訳)
【面白ポイント】

迫る脅威に屈せず友人の死の真相を追う、ハードボイルドな探偵の物語です。
私立探偵フィリップ・マーロウは、妻殺しの容疑をかけられた友人テリー・レノックスの逃亡を手助けしますが、テリーは自殺し、事件は迷宮入りとなります。
その真相を追う中、マーロウは酒に溺れる作家ロジャー・ウェイドの捜索という、全く別の依頼を妻アイリーンから受けることになります。
やがて、別々に見えた二つの事件が思わぬ形でつながり、マーロウは複雑に絡み合う人間関係の中から、隠された真相に近づいていきます。
謎を追う面白さに加え、金や権力によって真実が歪められる理不尽な社会の中で、自身の信念を貫くマーロウの姿に魅せられるハードボイルドの名作です。
F・スコット・フィッツジェラルド

グレート・ギャツビー
過去の愛を取り戻そうとするギャツビーの夢と、その行方を描いた物語
【刊行年 / 分量】
1925年 / 360ページ(村上春樹訳)
【面白ポイント】

過去の愛を取り戻そうとするギャツビーの夢と、その行方を描いた物語です。
1920年代のアメリカ東部を舞台に、会社員のニックの視点から、富裕層の華やかな暮らしとその裏に潜む空虚さを描きます。
ニックの近所に住む謎の大富豪ギャツビーは、かつて愛したデイジーと再び結ばれるため、失われた過去を取り戻そうとします。
一途に夢を追うギャツビーとは対照的に、不誠実なトムやデイジー、彼のパーティーに集う富裕層の空虚さが浮かび上がります。
生き生きとした人物描写と美しい文章で、夢や愛を追い続ける人間の姿を描いた名作であり、村上春樹が最も愛した小説です。
アーネスト・ヘミングウェイ

老人と海
報われない漁の中で、老人の老いと誇りが浮かび上がる物語
【刊行年 / 分量】
1952年 / 文庫192ページ(高見浩訳・新訳版)
【面白ポイント】

報われない漁の中で、老人の老いと誇りが浮かび上がる物語です。
不運が続き何も得られないまま海へ出た老人が、巨大なカジキマグロと向き合う三日間の中で、孤独や苦悶、誇りといった感情をむき出しにしていきます。
老人と魚の力関係だけでなく、運と不運、尊敬と意地がせめぎ合いながら物語を動かしていきます。
痛みや眠気、独り言といった身体の衰えが丁寧に描かれることで、年老いたからこそ背負う現実が強く実感されます。
そして老人を慕う少年の存在が、報われなさの中にも確かに残る希望として、静かな余韻を物語に与えています。
誰がために鐘は鳴る
たった4日間に、愛と死と人生の意味を凝縮したスペイン内戦下の物語
【刊行年 / 分量】
1940年 / 上:文庫464ページ、下:文庫528ページ(高見浩訳・新訳版)
【面白ポイント】

たった4日間に、愛と死と人生の意味を凝縮したスペイン内戦下の物語です。
ヘミングウェイは実際にスペイン内戦を目撃した作家です。
あっさりとした戦闘描写と、思考が追いつかない心理描写の両方に、戦場のリアルが宿っています。
鉄橋爆破の命を受けたロバートは、ゲリラ隊と協力する最中、隊に保護されていたマリアと切なさをはらんだ恋に落ちます。
欺瞞や無常さが渦巻く内戦を描きながら、鐘はすべての人間のために鳴るというテーマが読後も長く胸に残ります。
ヘミングウェイの最高傑作との呼び声も高く、戦争と愛について深く考えさせられる一冊です。
ジョン・スタインベック

ハツカネズミと人間
ハツカネズミの命のように儚く散る夢と、最後まで貫かれる人間同士の絆を描いた物語
【刊行年 / 分量】
1937年 / 文庫176ページ(大浦暁生訳)
【面白ポイント】

ハツカネズミの命のように儚く散る夢と、最後まで貫かれる人間同士の絆を描いた物語です。
カリフォルニア州の出稼ぎ労働者のジョージとレニーは、いつか自分たちの農場を持つことを夢見ながら、農場を渡り歩いて生活しています。
しかし、力を制御できない怪力レニーの行動はたびたび問題となり、新たに行き着いた農場でもカーリーとその妻との間に問題が生じてしまいます。
やがて物語は悲劇的な結末を迎え、二人が抱いていた農場の夢も、ハツカネズミの命のようにあっけなく潰えてしまいます。
ほとんどの夢が叶わない厳しい現実の中で、最後まで失われることのない人間の絆が尊く光るスタインベックの出世作です。
J・D・サリンジャー

キャッチャー・イン・ザ・ライ(ライ麦畑で捕まえて)
欺瞞だらけの大人の世界に抗おうとする少年の葛藤を描いた物語
【刊行年 / 分量】
1951年 / 362ページ(村上春樹訳)
【面白ポイント】

欺瞞だらけの大人の世界に抗おうとする少年の葛藤を描いた物語です。
アメリカ・ニューヨークを舞台に、名門高校を退学になった16歳のホールデンが、寮を飛び出して家に帰るまでの数日間が描かれます。
その道中で出会う教師、友人、異性、さまざまな人々との交流を通して、社会への違和感や、大人の世界に対する不信感が浮かび上がります。
一方で亡くなった弟アリーや妹フィービーへの愛情からは、失いたくないものへの執着と、孤独の中で誰かとつながりたいという葛藤が描かれています。
ライ麦畑で遊ぶ子どもたちを崖から救うキャッチャーのようになりたい少年の姿が、モラトリアムを抱える人の心に響く一冊です。
レイ・ブラッドベリ

華氏451度
本を燃やす、人々が思考を放棄したディストピア社会を描いた物語
【刊行年 / 分量】
1953年 / 文庫304ページ(伊藤典夫・小野田和子訳、新訳版)
【面白ポイント】

本を燃やす、人々が思考を放棄したディストピア社会を描いた物語です。
本を読むことが禁じられた社会で、本を燃やす職業・昇火士のモンターグは、少女との対話や老婆の死をきっかけに、そんな社会を疑い始めます。
やがてモンターグは、元教授を訪ねたことで自身の仕事への疑念を深め、昇火士の上司と対立していくことになります。
また、妻や人々が「無思考=幸せ」という価値観のもと娯楽に没頭する一方、外部との戦争によって社会そのものが破壊されていきます。
思考を失ったディストピアで、自ら考えることの価値を見つめ直すきっかけをくれるSFの名作です。
カート・ヴォネガット

スローターハウス5
過去も現在も未来も同時に存在するという時間観から、戦争を捉え直す物語
【刊行年 / 分量】
1969年 / 文庫304ページ(伊藤典夫訳)
【面白ポイント】

過去も現在も未来も同時に存在するという時間観から、戦争を捉え直す物語です。
第二次世界大戦中、捕虜となりドレスデン爆撃を経験したビリーが、トラルファマドール星人に誘拐されます。
そこで過去・現在・未来が同時に存在する時間観を知り、ビリー自身も時間を自由に行き来するようになります。
すべての出来事が同時に存在する世界では、喜劇も悲劇も「そういうもの」となり、望ましい瞬間を大切にする考え方が自然と生まれます。
第二次世界大戦を経験したヴォネガットが、SF的な時間観を通して戦争の記憶を捉え直した代表的な一冊です。
トルーマン・カポーティ

ティファニーで朝食を
愛や居場所を求めながら自由を追い続ける、危うくも魅力的な女性の物語
【刊行年 / 分量】
1958年 / 文庫171ページ(村上春樹訳)
【面白ポイント】

愛や居場所を求めながら自由を追い続ける、危うくも魅力的な女性の物語です。
第二次世界大戦期のニューヨークで、自由奔放な生活を送るホリー・ゴライトリーは、同じアパートに住む青年「私」と出会い、交流を深めていきます。
「私」の視点を通して、華やかな社交生活の裏で、孤独や過去への執着を抱え続けるホリーの姿が描かれます。
その危うさと純真さが共存するホリーの多面性が、カポーティの洗練された文章によって鮮やかに浮かび上がります。
ホリーの行方をめぐる余韻が心に残る、カポーティの最高傑作と評される名作です。
ダニエル・キイス

アルジャーノンに花束を
知能を得て世界の見え方が変わっていく、青年の心の軌跡を描いた物語
【刊行年 / 分量】
1966年 / 文庫462ページ(小尾芙佐訳)
【面白ポイント】

知能を得て世界の見え方が変わっていく、青年の心の軌跡を描いた物語です。
知的障害のあるチャーリイ・ゴードンは、ねずみのアルジャーノンと同じく知能向上実験の被験者となり、やがて天才的な知能を獲得していきます。
物語はチャーリイ自身の経過報告の形式で進み、文章の変化を通して、知能を得ることで世界の見え方が変わる様を追体験できます。
知能が高まることで、周囲の悪意や自分自身の過去に苦しみ、自我や恋愛感情に悩むようになる姿から、高い知能が必ずしも幸福につながらないことが浮かび上がります。
また、家族との過去やアリスとの恋愛を通して、知能だけでは捉えきれない人間の情緒や愛情の重要性も描かれています。
人間にとって知能とは何か、幸せとは何かを問いかける、世界中で読み継がれてきた名作です。
レイモンド・カーヴァー

愛について語るときに我々の語ること
何気ない午後に、さまざまな愛について語り合う4人の物語
【刊行年 / 分量】
1981年 / 308ページ(村上春樹訳)(※うち表題作は26ページ)
【面白ポイント】

何気ない午後に、さまざまな愛について語り合う4人の物語です。
ある午後、メルとテリー、ニックとローラの4人は酒を飲みながら、愛についてそれぞれの考えを語り合います。
過去の愛、歪んだ愛、純粋な愛、危機的な状況における愛など、様々な愛の形が話題にあがり、愛が一つの形では捉えられないことが示唆されます。
ミニマリズムの手法で何気ない会話の中に人間の複雑な感情をにじませる、カーヴァーを代表する短編です。
