記事概要

対象者
  • 新書を読んでみたい方
  • 幅広い教養を身に着けたい方
目的
  • 2021年~2025年の新書大賞受賞作の中から手に取りたい1冊が見つかる

いちごバター

読書歴5年、2人で700冊以上読んできた本好き夫婦が、最近(2021年~2025年)の親書大賞受賞作の面白ポイントを紹介していきます。

新書大賞とは

中央公論新社が主催する、その年に最もおすすめしたい新書を選ぶランキング

新書大賞はどのような基準で選ばられるのか?

書店員や出版関係者など、本を知り尽くしたプロたちの投票によって決定されます。

話題性だけでなく、「内容の面白さ」「知的刺激」「新書としての完成度」が評価されるため、良質な教養書と出会うための信頼できる指標として知られています。

【参考】

なぜ新書初心者に新書大賞受賞作がおすすめか?

新書大賞受賞作は多くの読書家や出版関係者が認めた“ハズレの少ない一冊”だからです。

専門的な内容でも一般読者向けにわかりやすく書かれており、知的好奇心を刺激しながら無理なく教養を広げられます。

新書選びに迷ったら、まずは新書大賞受賞作から手に取るのがおすすめです。

特におすすめの1冊はどれか?

初めて新書を読む方には、2025年新書大賞受賞作『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』をおすすめします。

新書には専門的で難解なものもありますが、本書は文章が平易で読みやすく、身近なテーマから社会や歴史の話へと自然に導いてくれるため、新書入門にぴったりの一冊です。

受賞作の面白ポイントを紹介

2025年:なぜ働いていると本が読めなくなるのか | 三宅香帆

労働史と読書史から、現代勤労者が本を読めなくなる理由を考察した一冊

【著者】

文芸評論・社会批評 / 京都大学大学院人間・環境学研究科出身 / 京都市立芸術大学非常勤講師

【分量】

285ページ

【面白ポイント】

労働史と読書史から、現代勤労者が本を読めなくなる理由を考察した一冊です。

京大院卒の文芸評論家・三宅香帆氏が、映画『花束みたいな恋をした』の主人公・麦が働き始めた途端にパズドラしかできなくなった描写を起点に考察が始まります。

明治から現代までの労働環境と読書の関係を時代ごとに追うと、今の私たちが本を「ノイズ」と感じてしまう構造的な理由が見えてきます。

新自由主義が広げた「仕事=自己実現」という価値観が、知識よりも情報の効率的インプットを優先させた歴史から、その主張は丁寧に導かれます。

文化的余暇を取り戻すための処方箋として「半身で働く」という視点を提示する、現代に働くすべての人に届けたい一冊です。

2024年:言語の本質―ことばはどう生まれ、進化したか | 今井むつみ/秋田喜美

人間の言語を科学的に解き明かし、その本質に迫る1冊

【著者】

今井むつみさん:認知科学・言語心理学研究 / 慶應義塾大学教授

秋田喜美さん:オノマトペ・認知言語学研究 / 名古屋大学准教授

【分量】

277ページ

【面白ポイント】

人間の言語を科学的に解き明かし、その本質に迫る1冊です。

認知科学と言語学の第一線で活躍する二人の研究者が、オノマトペという身近な切り口から言語の本質へと迫っていきます。

オノマトペの科学的分析を起点に、子どもの言語習得、言語の進化、そして人間と動物・生成AIを分かつものへと議論が広がっていく構成です。

当たり前に使ってきた「ことば」の成り立ちを科学的に問い直され、読後には言語観そのものが揺さぶられます。

現代の言語学の最前線興味のある方に手に取ってほしい一冊です。

2023年:現代思想入門 | 千葉雅也

現代思想(ポスト構造主義)をざっくり学べる、入門の入門書

【著者】

東大でフランス現代思想研究 / 現立命館大学教授 / 芥川賞候補にもなる小説家

【分量】

245ページ

【面白ポイント】

現代思想(ポスト構造主義)をざっくり学べる、入門の入門書です。

著者の千葉雅也氏は東大でフランス現代思想を研究し、現在は立命館大学教授を務める傍ら、芥川賞候補にもなった小説家という異色の経歴を持ちます。

デリダ・ドゥルーズ・フーコーをメインに取り上げ、三者それぞれの「概念・存在・社会」脱構築を分かりやすく説明しています。

ニーチェ・フロイト・マルクスという源流から最前線のポストポスト構造主義まで、思想の系譜が一枚の地図として頭に入ります。

難解な哲学用語を著者独自の筆致でかみ砕いており、現代思想をざっくり理解したい方に最適な1冊です

2022年:サラ金の歴史 | 小島庸平

戦後日本の経済史をなぞりながらサラ金の歴史をたどった新書

【著者】

経済史・金融史研究 / 東京大学大学院経済学研究科准教授

【分量】

344ページ

【面白ポイント】

戦後日本の経済史をなぞりながらサラ金の歴史をたどった新書です。

著者の小島庸平氏は東大大学院准教授で、膨大な文献をもとにサラ金業界の光と影を中立的に詳述しています。

戦前の素人高利貸しから始まり、アコム・プロミス・武富士ら主要各社の興隆と、規制・淘汰のドラマが読み物としての面白さにつながっています。

また、多重債務・自己破産増加という社会問題と、それを生んだ構造的要因まで丁寧に掘り下げており、業界史を超えた日本社会論として読み応えがあります。

「闇金」「SNS型の高利貸し」など形を変えて残る課題にも触れており、金融リテラシーが一段高まる一冊です。

2021年:人新世の「資本論」 | 斎藤幸平

資本主義の限界を、マルクスの晩年の思想をもって超えようとする思想の書

【著者】

経済思想・社会思想研究 / 東京大学大学院総合文化研究科准教授

【分量】

375ページ

【面白ポイント】

資本主義の限界を、マルクスの晩年の思想をもって超えようとする思想の書です。

東大准教授・経済思想家の斎藤幸平氏が、晩年の書簡や未完の続巻から私たちの知らないマルクス像を掘り起こします。

グリーン・ニューディールやSDGsでは限界があり、豊かさの負荷はグローバル・サウスへ転嫁され続けると著者は断言します。

そこで、脱成長コミュニズムこそ真の解決策だという主張が、世界各地の社会運動も交えながら、説得力をもって展開されます。

現代社会の常識を問い直し、新しい経済システムの一案に触れられる一冊です。

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