記事概要
- 新書を読んでみたい方
- 幅広い教養を身に着けたい方
- 2021年~2026年の新書大賞受賞作の中から手に取りたい1冊が見つかる

いちごバター
読書歴5年、2人で700冊以上読んできた本好き夫婦が、最近(2021年~2026年)の親書大賞受賞作の面白ポイントを紹介していきます。
新書大賞とは
中央公論新社が主催する、その年に最もおすすめしたい新書を選ぶランキング
- 新書大賞はどのような基準で選ばれるのか?
書店員や出版関係者など、本を知り尽くしたプロたちの投票によって決定されます。
「時代性があり社会問題を取り扱っている」、「啓蒙性と読みやすさがある」、「説得力がある」作品が選ばれる傾向が強いようです。
【参考】
- なぜ新書初心者に新書大賞受賞作がおすすめか?
新書大賞受賞作は多くの読書家や出版関係者が認めた“ハズレの少ない一冊”だからです。
専門的な内容でも一般読者向けにわかりやすく書かれており、知的好奇心を刺激しながら無理なく教養を広げられます。
新書選びに迷ったら、まずは新書大賞受賞作から手に取るのがおすすめです。
- 新書大賞にはどのくらい歴史があるのか?
2008年から始まった賞です。
歴代受賞作は以下の画像の通りです。

- 特におすすめの1冊はどれか?
初めて新書を読む方には、2025年新書大賞受賞作『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』をおすすめします。
新書には専門的で難解なものもありますが、本書は文章が平易で読みやすく、身近なテーマから社会や歴史の話へと自然に導いてくれるため、新書入門にぴったりの一冊です。
受賞作の面白ポイントを紹介
2026年:カウンセリングとは何か 変化するということ | 東畑開人
「カウンセリング」とは何かを、歴史・理論・実践から体系的に描いた一冊
【著者】
臨床心理士・公認心理師 / 京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了 / 白金高輪カウンセリングルーム主宰
【分量】
441ページ
【面白ポイント】

「カウンセリング」とは何かを、歴史・理論・実践から体系的に描いた一冊です。
京大院卒の臨床心理士・公認心理師である東畑開人氏が、「カウンセリングとは何か」という問いを軸に、その役割や患者が辿るプロセスをわかりやすく解説しています。
「どう生き延びるか」という生存の問題だけでなく、「どう生きるか」という実存の問題まで扱うことで、カウンセリングが担う役割の広さを再認識させられます。
実際の事例を交えながら、人がどのように変化し、カウンセリングがどのような終わりを迎えるのかまでを追体験できる構成になっています。
自分の抱える問題と向き合うきっかけを与えてくれる、現代を生きるすべての人に読んでほしい一冊です。
2025年:なぜ働いていると本が読めなくなるのか | 三宅香帆
労働史と読書史から、現代勤労者が本を読めなくなる理由を考察した一冊
【著者】
文芸評論・社会批評 / 京都大学大学院人間・環境学研究科出身 / 京都市立芸術大学非常勤講師
【分量】
285ページ
【面白ポイント】

労働史と読書史から、現代勤労者が本を読めなくなる理由を考察した一冊です。
京大院卒の文芸評論家・三宅香帆氏が、映画『花束みたいな恋をした』の主人公・麦が働き始めた途端にパズドラしかできなくなった描写を起点に考察を始めています。
明治から現代までの労働環境と読書の関係を時代ごとに追うと、今の私たちが本を「ノイズ」と感じてしまう構造的な理由が見えてきます。
新自由主義が広げた「仕事=自己実現」という価値観が、知識よりも情報の効率的インプットを優先させた歴史から、その主張は丁寧に導かれます。
文化的余暇を取り戻すための処方箋として「半身で働く」という視点を提示する、現代に働くすべての人に届けたい一冊です。
2024年:言語の本質―ことばはどう生まれ、進化したか | 今井むつみ/秋田喜美
人間の言語を科学的に解き明かし、その本質に迫る1冊

【著者】
今井むつみさん:認知科学・言語心理学研究 / 慶應義塾大学教授
秋田喜美さん:オノマトペ・認知言語学研究 / 名古屋大学准教授
【分量】
277ページ
【面白ポイント】
人間の言語を科学的に解き明かし、その本質に迫る1冊です。
認知科学と言語学の第一線で活躍する二人の研究者が、オノマトペという身近な切り口から言語の本質へと迫っていきます。
オノマトペの科学的分析を起点に、子どもの言語習得、言語の進化、そして人間と動物・生成AIを分かつものへと議論が広がっていく構成です。
当たり前に使ってきた「ことば」の成り立ちを科学的に問い直され、読後には言語観そのものが揺さぶられます。
現代の言語学の最前線に興味のある方に手に取ってほしい一冊です。
2023年:現代思想入門 | 千葉雅也
現代思想(ポスト構造主義)をざっくり学べる、入門の入門書

【著者】
東大でフランス現代思想研究 / 現立命館大学教授 / 芥川賞候補にもなる小説家
【分量】
245ページ
【面白ポイント】
現代思想(ポスト構造主義)をざっくり学べる、入門の入門書です。
著者の千葉雅也氏は東大でフランス現代思想を研究し、現在は立命館大学教授を務める傍ら、芥川賞候補にもなった小説家という異色の経歴を持ちます。
デリダ・ドゥルーズ・フーコーをメインに取り上げ、三者それぞれの「概念・存在・社会」脱構築を分かりやすく説明しています。
ニーチェ・フロイト・マルクスという源流から最前線のポストポスト構造主義まで、思想の系譜が一枚の地図として頭に入ります。
難解な哲学用語を著者独自の筆致でかみ砕いており、現代思想をざっくり理解したい方に最適な1冊です
2022年:サラ金の歴史 | 小島庸平
戦後日本の経済史をなぞりながらサラ金の歴史をたどった新書

【著者】
経済史・金融史研究 / 東京大学大学院経済学研究科准教授
【分量】
344ページ
【面白ポイント】
戦後日本の経済史をなぞりながらサラ金の歴史をたどった新書です。
著者の小島庸平氏は東大大学院准教授で、膨大な文献をもとにサラ金業界の光と影を中立的に詳述しています。
戦前の素人高利貸しから始まり、アコム・プロミス・武富士ら主要各社の興隆と、規制・淘汰のドラマが読み物としての面白さにつながっています。
また、多重債務・自己破産増加という社会問題と、それを生んだ構造的要因まで丁寧に掘り下げており、業界史を超えた日本社会論として読み応えがあります。
「闇金」「SNS型の高利貸し」など形を変えて残る課題にも触れており、金融リテラシーが一段高まる一冊です。
2021年:人新世の「資本論」 | 斎藤幸平
資本主義の限界を、マルクスの晩年の思想をもって超えようとする思想の書

【著者】
経済思想・社会思想研究 / 東京大学大学院総合文化研究科准教授
【分量】
375ページ
【面白ポイント】
資本主義の限界を、マルクスの晩年の思想をもって超えようとする思想の書です。
東大准教授・経済思想家の斎藤幸平氏が、晩年の書簡や未完の続巻から私たちの知らないマルクス像を掘り起こします。
グリーン・ニューディールやSDGsでは限界があり、豊かさの負荷はグローバル・サウスへ転嫁され続けると著者は断言します。
そこで、脱成長コミュニズムこそ真の解決策だという主張が、世界各地の社会運動も交えながら、説得力をもって展開されます。
現代社会の常識を問い直し、新しい経済システムの一案に触れられる一冊です。
2018年:バッタを倒しにアフリカへ | 前野ウルド浩太郎
無収入の危機に陥った研究者が、アフリカでバッタ研究に挑むノンフィクション

【著者】
昆虫学者 / 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター主任研究員
【分量】
378ページ
【面白ポイント】
無収入の危機に陥った研究者が、アフリカでバッタ研究に挑むノンフィクションです。
ファーブルに憧れて昆虫博士を目指した前野ウルド浩太郎氏が、ポスドクの任期終了が迫っても就職が決まらないなか、サバクトビバッタの研究者としてモーリタニアへ渡ります。
サバクトビバッタはアフリカや中東で大発生し、農作物を食い尽くして食料不足を招くため、被害を防ぐことには大きな社会的価値があります。
サハラ砂漠の過酷な環境で、バッタを探し、飼育し、実験を重ねながら、現地の人々に支えられて研究を続ける姿が、ユーモラスな筆致で描かれます。
昆虫博士になるという少年時代の夢を、人生最大のピンチを乗り越えながらアフリカの地で叶えようとする、研究者の熱き挑戦を見届けられる一冊です。
2016年:京都ぎらい | 井上章一
「洛中/洛外」の地域意識から京都の内情を論じた書

【著者】
国際日本文化研究センター所長 / 風俗史・近代日本文化史研究者
【分量】
221ページ
【面白ポイント】
「洛中/洛外」の地域意識から京都の内情を論じた書です。
風俗史・近代日本文化史を専門とする井上章一氏が、自身の体験や私情を交えながら、京都の文化や歴史を幅広く論じています。
中でも、洛中と洛外では「京都人」としての扱いが異なるという、京都市に根付く地域意識や差別の構造に鋭く焦点を当てています。
また、坊主や寺院、花街、明治維新などを題材に、京都の文化や歴史をひもときながら、外側からは見えにくい京都の負の側面にも果敢に切り込みます。
京都への嫌悪を隠さず、洛中への複雑な感情を語る一方で、京都への愛着も垣間見える、皮肉と愛情が入り混じった一冊です。
2015年:地方消滅 | 増田寛也
人口減少による地方の衰退を予測し、その解決策を提言する書

【著者】
元総務大臣 / 東京大学公共政策大学院客員教授
【分量】
243ページ
【面白ポイント】
人口減少による地方の衰退を予測し、その解決策を提言する書です。
元総務大臣の増田寛也氏を中心とする「日本創成会議」が、全国の自治体を分析し、若年女性人口の減少率から「消滅可能性都市」を指摘します。
なぜ若者が東京圏へ流出するかというと、地方に仕事がないためです。
しかし、東京圏は国内でも出生率が低く、そこに人口が集中するほど、地方と都市の双方で人口減少が深刻化してしまうのです。
そこで、地方中核都市への人口集約や、若者・女性への支援など、人口流出と少子化を食い止める具体的な政策案を提示します。
人口減少の深刻さをデータで理解し、東京一極集中と地方の衰退という日本の問題を考えるきっかけをくれる一冊です。
